クロスローラーガイド・ボールガイド 製品取扱い上の注意事項

取扱い

  1. 各部を分解しないでください。機能が損失する原因となります。
  2. クロスローラーガイド・ボールガイドを落下させたり、叩いたりしないでください。けがや破損の原因となります。また、衝撃を与えた場合、外観に破損が見られなくとも機能を損失する可能性があります。
  3. 製品を扱う場合は、必要に応じて保護手袋、安全靴等を着用して安全を確保してください。

使用上の注意

  1. 切り粉やクーラントなどの異物の流入のないようご注意ください。破損の原因となります。
  2. 切り粉、腐食性のある溶剤、水などが製品内部に流入するような環境下で使用される場合は、ジャバラまたはカバー等により製品への流入を避けてください。
  3. 切り粉などの異物が付着した場合は、洗浄した後、潤滑剤を再封入してください。
  4. 100℃を超えての使用は避けてください。
  5. 微小ストロークの場合は、転動面と転動体の接触面に油膜が形成されにくく、フレッチングを生じることがありますので耐フレッチング性に優れたグリースをご使用ください。また、定期的にフルストローク移動を加えることにより転動面と転動体に油膜を形成させることを推奨します。
  6. 製品に位置決め部品(ピン、キー等)を無理に打ち込まないでください。転動面に圧痕が生じ機能を損失する原因となります。
  7. 転動体が抜けたままで使用した場合、早期破損の要因となります。
  8. 転動体が脱落した場合は、そのまま使用せずTHKにお問い合わせください。
  9. 取付部材の剛性および精度が不足すると、軸受の荷重が局部的に集中し、軸受性能が著しく低下します。したがって、ハウジングやベースの剛性・精度、固定用ボルトの強度について十分検討ください。

潤滑

  1. 防錆油をよく拭き取り、潤滑剤を封入してからお使いください。
  2. 製品を潤滑する場合には、転動面に直接潤滑剤を塗布し、内部にグリースが入るよう慣らしストロークを数度おこなってください。
  3. 異なる潤滑剤を混合しての使用は避けてください。増ちょう剤が同種類のグリースでも、添加剤などが異なることにより、お互いに悪影響を及ぼす恐れがあります。
  4. 常に振動が作用する箇所、クリーンルーム、真空、低温・高温などの特殊環境下で使用される場合は、仕様・環境に適したグリースをご使用ください。
  5. 温度によりグリースのちょう度は変化します。ちょう度の変化によってクロスローラーガイド・ボールガイドの摺動抵抗も変化しますのでご注意ください。
  6. 給脂後はグリースの撹拌抵抗によりクロスローラーガイド・ボールガイドの摺動抵抗が増大する可能性があります。必ず慣らし運転をおこない、グリースを十分なじませてから、機械の運転をおこなってください。
  7. 給脂直後は余分なグリースが周囲に飛び散る可能性がありますので、必要に応じて拭き取ってご使用ください。
  8. グリースは使用時間とともに性状は劣化し潤滑性能は低下しますので、使用頻度に応じたグリース点検と補給が必要です。
  9. 使用条件や使用環境により給脂間隔が異なります。最終的な給脂間隔・量は実機にて設定願います。

取付け

クロスローラーガイドのザグリ穴を使用してレールを固定する場合、六角穴付きボルト(JIS B1176)を使用します。ただし、表1 に示す形番については記載のねじを推奨します。

表1   ベース固定ねじ
呼び形番 種類 ねじの呼び
VR 1 0番なべ小ねじ
(3種)
M1.4
VR 2 十字穴付き
なべ小ねじ
M2
  • 日本写真機工業会団体規格 JCIS 10-70
    精密機器用十字穴付き小ねじ(0番小ねじ)
  • 十字穴付きなべ小ねじ JIS B 1111

レールの長さ

ローラーケージおよびボールケージの動きは、テーブルの移動量の1/2だけ同方向に転がり移動します。
ケージの長さをℓ、ストローク長さをℓSとした場合、ケージが軌道台よりオーバーハングしないためにはレールの長さ(Lk)は以下のようになります。

Lk≧ℓ + ℓs/2
Lk ℓ ℓS/2 Lk ℓS Lk 図1

ケージのずれ

ローラー(ボール)を保持しているケージは極めて正確な動作をしますが、機械の駆動振動や慣性力、衝撃などにより、ケージずれを生ずることがあります。
下記の条件にて使用される場合は、THKにお問い合わせください。

  • たて使用の場合
  • 空圧シリンダ駆動の場合
  • カム駆動の場合
  • 高速クランク駆動の場合
  • モーメント荷重が大きく作用する場合
  • 外部ストッパにテーブルを当てて止める仕様の場合

ストッパについて

ケージ脱落防止のためレール端面にストッパが付いています。このストッパにケージを頻繁に衝突させた場合、ストッパの摩耗、固定ねじのゆるみ等を起こし、ケージの脱落の原因となりますのでご注意ください。

防塵

クロスローラーガイドおよびボールガイド内への異物の流入を防止するために、図2のような側面の防塵方法があります。前後方向はジャバラあるいはテレスコピックなどのご採用をご検討ください。

ラビリンスカバー ワイパーシール 図2 防塵方法

保管

クロスローラーガイド・ボールガイドは、弊社の梱包および荷姿で、高温、低温、多湿を避け、水平な状態で室内に保管してください。

廃棄

製品は産業廃棄物として適切な廃棄処置をおこなってください。