剛性の予測

ラジアルすきま(予圧)の選定

LMガイドのラジアルすきまは、走り精度、耐荷重性能や剛性に大きく影響するので、用途に応じた適切なすきまの選定が大切です。一般的には、往復運動から生じる振動・衝撃を考慮して、マイナスすきま(予圧 ※ を与えた状態)を選定することが寿命および精度に好影響をもたらします。
それぞれの使用条件に応じて最適のすきまを選択しますので、THKにお問い合わせください。
なお、LMガイド(分離形のHR形、GSR形、GSR-R形は除く)は、すべてご指定のすきま調整がなされた状態で出荷されますので、予圧の調整が不要です。
※予圧(プリロード)とは、LMブロックの剛性を高めるため、あらかじめ転動体(ボール、ローラー)に与える内部荷重をいいます。

表12  ラジアルすきまの種類
普通すきま C1すきま(軽予圧) C0すきま(中予圧)
使用条件
  • 荷重方向が一定で衝撃・振動が小さく、2軸並列使用の箇所
  • 精度をあまり必要としない場合で、少しでも摺動抵抗を軽くしたい箇所
  • オーバーハング荷重や、モーメント荷重のかかる箇所
  • 1軸で使用する箇所
  • 軽荷重で高精度を必要とする箇所
  • 強度の剛性を必要とし、振動・衝撃のかかる箇所
  • 重切削の工作機械など
適用例
  • ビーム溶接機
  • 製本機械
  • 自動包装機
  • 一般産業機械のXY軸
  • 自動サッシ加工機
  • 溶接機
  • 溶断機
  • 工具交換装置
  • 各種材料供給装置
  • 研削盤テーブル送り軸
  • 自動塗装機
  • 工業用ロボット
  • 各種高速材料供給装置
  • NCボール盤
  • 一般産業機械の上下軸
  • プリント基板穴明機
  • 放電加工機
  • 測定器
  • 精密XYテーブル
  • マシニングセンタ
  • NC旋盤
  • 研削盤の砥石送り軸
  • フライス盤
  • 立横中ぐり盤
  • 刀物台案内部
  • 工作機械の上下軸

予圧を考慮した寿命

LMガイドに中予圧(C0すきま)をかけて使用する場合は、その予圧荷重を考慮して寿命計算を行う必要があります。
予圧荷重は形番を選定の上、THKにお問い合わせください。

剛性

LMガイドに荷重を作用させるとボールやLMブロックは負荷許容範囲で弾性変形します。その変位量と負荷荷重の比率を剛性といいます。LMガイドは変位量を抑えるため、適切なラジアルすきま(予圧)を選定できます。
溝寸法より大きめのボールを使用することで、転動溝を転がるボールは常に弾性変形することで荷重のかかっている状態を維持し、LMガイドの変位量を抑えることができます。
予圧の効果は、作用する外力が2.8倍になるまで効果があります。それを超えると予圧は開放され、予圧の効果はなくなります。
外部から負荷を受けた時、予圧が作用していると変位量は直線的となり、その変位量は予圧がかかっていない場合の約1/2となります。
予圧は変位量の低減以外に、振動、衝撃による早期破損の防止にも効果があります。

K 剛性値 (N/μm)
δ 変位量 (μm)
P 計算荷重 (N)