リンクボール

リンクボールは、球面部に高精度の軸受用鋼球を使用し、ダイカスト鋳造でくるんでホルダを成形した後、シャンク部を特殊溶接しています。この独創的な製法により、鋼球の鏡面がホルダ球面部に転写されて互いに全面接触するため、最小のすきまで滑らかな動作が得られます。

種類

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  • 高精度
  • コンパクト
  • 耐摩耗性
  • 真球度
BL形/BL-A形
  • 高精度
  • 真球度
  • コンパクト
  • 耐摩耗性
RBI形
  • 高精度
  • 真球度
  • コンパクト
  • 耐摩耗性

特長

構造と特長

リンクボールは、球面部に高精度の軸受用鋼球を使用し、ダイカスト鋳造でくるんでホルダを成形した後、シャンク部を特殊溶接しています。この独創的な製法により、鋼球の鏡面がホルダ球面部に転写されて互いに全面接触するため、最小のすきまで滑らかな動作が得られます。

コンパクト設計

BL形は高度なバランス設計により、必要十分な強度を保ちながら極めてコンパクトな形状となっています。自動車の車高センサリンク部やミッションコントロール部などに最適です。

真球度は0.001mm

ボール付きシャンク球面部は、軸受用鋼球の真球度がそのまま転写されるため、真球度は0.001mm以下という最小のすきまでなめらかな動作が得られ、リンクモーションに良好な操作性とフィーリングを与えます。

ホルダ材は2種類

ホルダ材として、BL-A形には軽量で耐摩耗性に優れた新開発高強度アルミ合金“A-1合金”(合金参照)を使用しています。また、BL形6以上およびRBI形には従来から実績のある高強度亜鉛合金(合金参照)を使用しています。

優れた潤滑性能

ブーツ内にはグリースが封入されているため、潤滑性に優れ耐摩耗性を向上させます。

大型の六角座面を採用

シャンク部の六角寸法は自動車用規格に基づいて小型六角ボルトの座面の大きさと同寸法にしているので、締付けによる座面陥没等がなく確実なリンクモーション機構が得られます。

泥水に強いブーツ付き

ボール付きシャンク部の動きに追従性のよいブーツにより、泥水などの中で使用しても球面部に浸入しないので、屋外や乗用車のシャーシ下まわりに使用している実績があります。なお、詳しくは泥水耐久試験データ(リンクボールBL形の各種耐久試験)をご参照ください。

合金

高強度アルミ合金“A-1合金”

BL-A形のホルダに採用している新開発の高強度アルミ合金“A-1合金”は、Aℓ-Zn-Si3元成分合金で、これまでにないダイカスト用アルミ合金です。材料の機械的性質、物理的性質は、下記の通りです。

※ 下記値は目安値であり、保証値ではありません。

●A-1合金の特長

・ 強度は従来のアルミダイカスト合金の中で最も強い部類に属します。
・ 耐力は一般的なアルミダイカスト合金(ADC12)の約2倍です。
・ 硬さは高強度亜鉛合金と同等で、耐摩耗性に優れています。
・ 比重は高強度亜鉛合金の1/2以下で大幅な軽量化が可能です。
・ 耐食性に優れ、自動車の足まわり用部品として使用可能です。

●機械的性質

引張強さ

343~392 N/mm2

引張耐力(0.2%)

245~294 N/mm2

圧縮強さ

490~637 N/mm2

圧縮耐力(0.2%)

294~343 N/mm2

シャルピー衝撃値

0.098~0.196 N・m/mm2

伸び

2~3 %

硬さ

140~160 HV

●物理的性質

比重

3

溶融点

570℃

比熱

793 J/(kg・k)

線膨張率

22×10-6

高強度亜鉛合金

BL形およびRBI形のホルダに用いられる高強度亜鉛合金は、亜鉛をベースにAℓ、Cu、Mg、Be、Tiを配合し、軸受用合金として開発された材料で、機械的性質、耐焼付性や耐摩耗性に優れています。材料の機械的性質、物理的性質、耐摩耗性は、下記の通りです。

※ 下記値は目安値であり、保証値ではありません。

●機械的性質

引張強さ

275~314 N/mm2

引張耐力(0.2%)

216~245 N/mm2

圧縮強さ

539~686 N/mm2

圧縮耐力(0.2%)

294~343 N/mm2

疲れ強さ

132 N/mm2×107(シェンク式曲げ試験)

シャルピー衝撃値

0.098~0.49N・m/mm2

伸び

1~5 %

硬さ

120~145 HV

●物理的性質

比重

6.8

溶融点

390℃

比熱

460 J/(kg・k)

線膨張率

24×10-6

●耐摩耗性

高強度亜鉛合金の耐摩耗性は、黄銅3種、青銅3種より優れ、りん青銅2種とほぼ同等です。

アムスラー式摩耗試験機

試験片回転数

185 min-1

荷重

392 N

潤滑剤

ダイナモ油

荷重方向の呼び方

リンクボールに作用する荷重方向は、その形状にかかわらず、ボール付きシャンク部の軸線に平行な方向を「アキシアル方向」、直角な方向を「ラジアル方向」と呼びます。

押抜荷重と引抜荷重

アキシアル方向に作用する荷重のうち、ボール付きシャンク部をホルダに押付ける方向の荷重を「押抜荷重」、ホルダから抜く方向の荷重を「引抜荷重」と呼びます。

●荷重負荷方向

下表に各形番の荷重負荷方向を示します。破損の原因となりますので、荷重負荷方向の異なる使用は避けてください。

形番 アキシアル方向 ラジアル方向
BL形 X
BL-A形 X
RBI形 X

リンクボールBL形の各種耐久試験

試験の目的

THKリンクボールBL形と他社相当品との性能差を確認するために実施したものです。その結果、自動車・トラック・バスなどのミッションコントロール部、農業用トラクタのステアリング部等の連結部に採用されています。

対象製品、試験項目、試験条件および試験結果

試験項目 対象形番 試験条件
負荷荷重

回転
または
揺動角度

頻度 総回転 使用環境 負荷条件など

複合回転
揺動耐久
試験

THK
BL10D形

他社品
比較

±1760N
(ラジアル
方向)

回転角度
θ=±20°
揺動角度
α=±20°

40回/分 100万回 常温

低温回転
耐久試験

THK
BL10D形
のみ

±1225N
(ラジアル
方向)

回転角度
θ=±30°

60回/分 -30℃

低温保持時間:280時間
運動は回転方向

高温回転
耐久試験

100℃

高温保持時間:280時間
運動は回転方向

泥水回転
耐久試験

常温

泥水揺動
耐久試験

THK
BL10D形

他社品
比較

揺動角度
α=±20°

試験項目

試験結果 評価

試料
No.

すきまの変化量(µm) ホルダ等の状況

ラジアル
方向

アキシアル
方向

複合回転
揺動耐久
試験

THK
BL10D形

(1) 26 42

100万回試験終了後も、シャンク部は円滑に回転し継続使用が可能である。

  • 複合的なリンクモーションにおいても、THKBL10D形は他社品に比べて、ホルダ耐久強度・耐摩耗性に優れていることが認められる。
(2) 25 40
他社品 (1)

8600回でホルダ
首部より破損

約15万回の稼働で、ホルダ
球面部に摩耗および損傷が
認められる。

  • ホルダ破損直前時における摩耗量を対比すると、他社品の摩耗量は、THK BL10D形の6倍(ラジアル方向)である。
154 60
(2)

151300回でホルダ
首部より破損

62 20

低温回転
耐久試験

THK
BL10D形

(1) 63 65

低温においてもブーツにはキレツ等は認められない。

  • THK BL10D形は、寒冷地の屋外用途でも十分使用できることが認められる。
(2) 56 59

高温回転
耐久試験

(1) 79 84

高温においてもホルダの異常摩耗とブーツの熱劣化は認められない。

  • THK BL10D形は、トラックエンジンの高温付近でも十分使用できることが認められる。
(2) 74 78

泥水回転
耐久試験

(1) 48 51

摩耗に影響する泥水の流入は認められない。

  • THK BL10D形は、トラック・建設車両・農業機械等の泥水等のかかるような箇所でも、ブーツの密封効果により泥水の流入が防止され、十分使用できることが認められる。
(2) 57 63
(1) 32 38
(2) 35 42

泥水揺動
耐久試験

他社品 (1) 240 105

ブーツ内に泥水の流入が認
められ、球面部にカジリと
ブーツ内部に切れが発生。

  • 他社品は、泥水などのかかるような箇所ではカジリ等が発生して使用することができない。また球面部の摩耗も大きく、THKBL10D形の7.4倍で0.24mmに達し、ガタガタとなる。
(2) 246 107

総合評価

代表的な耐久試験によりTHK BL10D形と他社品とを対比した結果、THK BL10D形はホルダなどの強度・耐摩耗性およびブーツの密封性などに優れていることが証明されています。
この特性は、ホルダとシャンク部の独特の製法、材質の相異、球面部上下のグリースポケット構造および密封性の高いブーツの開発により得たものです。