ボールスプラインに作用する荷重を算出する場合には、寿命計算に使う平均荷重と、静的安全係数の 算出に使う最大荷重を把握する必要があります。
特に、起動停止が激しい場合や、衝撃荷重が作用する場合、オーバーハング荷重によるモーメントやトルク が大きく作用することがあります。 形番を選定する際には、その最大荷重(停止時、動作時にかかわらず)に 対して適しているかどうか確認する必要があります。 下表に静的安全係数の基準値を示します。

fs 静的安全係数
C0 基本静定格荷重 (N)
Pmax 最大負荷荷重 (N)
fT 温度係数 (寿命の予測 図1参照)
fC 接触係数 (寿命の予測 表8参照)

※基本静定格荷重とは最大応力を受けている接触部において、ボールの永久変形量と転動溝の永久変形量との和が、ボールの直径の0.0001倍になるような方向と大きさの一定した静止荷重を言います。

表7 静的安全係数(fs)の基準値
使用機械 荷重条件 基準値の下限
一般産業機械 振動・衝撃がない場合 3.0~6.0
振動・衝撃が作用する場合 4.0~7.0
複合荷重で振動・衝撃が作用する場合 5.0~8.0

※静的安全係数の基準値は、使用環境、潤滑状態、取付け部の精度や剛性等の使用条件により異なる場合があります。