NC工作機械や精密機械において、送りねじによる位置決め精度の向上、あるいは切削力による変位を小さくするためには、各種構成要素の剛性をバランスよく設計する必要があります。

送りねじ系の軸方向剛性

送りねじ系の軸方向剛性をKとすると、軸方向弾性変位量は(36)式により求められます。

送りねじ系軸方向剛性(K)は(37)式により求められます。

ねじ軸の軸方向剛性

ねじ軸の軸方向剛性は、ねじ軸の取付方法により異なります。

固定―支持(自由)の場合

ねじ軸の軸方向剛性線図を下記図14に示します。

固定―固定の場合

このときのねじ軸の軸方向剛性線図を下記 図15に示します。

ナットの軸方向剛性

ナットの軸方向剛性は予圧により大きく異なります。

無予圧タイプ

基本動定格荷重(Ca)の30%の軸方向荷重が作用したときの理論軸方向剛性値を、各形番の寸法表に記載しています。この値は、ナット取付ブラケット関連の剛性を含んでいませんので、一般に表の値の80%を目安としてください。
負荷軸方向荷重が基本動定格荷重(Ca)の30%と異なる場合の剛性値は、(40)式により求められます。

予圧タイプ

基本動定格荷重(Ca)の10%の予圧荷重を与えたときの理論軸方向剛性値を、各形番の寸法表に記載しています。この値は、ナット取付ブラケット関連の剛性を含んでいませんので、一般に表の値の80%を目安としてください。
予圧荷重が基本動定格荷重(Ca)の10%と異なる場合の剛性値は、(41)式により求められます。

支持軸受の軸方向剛性

ボールねじ支持軸受の剛性は、使用する支持軸受により異なります。
代表的なアンギュラ玉軸受の計算を(42)式に示します。

不明な場合は、使用メーカーにお問い合わせください。

ナットブラケットおよび支持軸受ブラケットの軸方向剛性

機械設計時に十分検討し、できるだけ剛性を高くするようにしてください。